2013年8月19日

長崎のお盆

お盆の行事は、日本でもいろいろと風習が違うと思います。
西と東、都道府県、超ミクロな部分で、隣町との風習の違い、など、
国同士の違いではありませんが、れっきとした「異文化」ですよね。
今回は、私のふるさと、長崎のお盆を紹介します。


今年は私の実家が初盆だったこともあり、
数年ぶりにお盆に長崎に帰省することができました。



ご存知の方も多いと思いますが、
長崎の「お盆」はとても独特です。
通常のお盆は、14日と15日にお墓参りをします。
ここで重要なのが

  「花火持参」でお墓参り

というポイントです。
子どもも楽しめる手持ち花火、ちょっと怖いですけど、
ロケット花火や爆竹などなど持参します。
お墓には、家紋が入った提灯を飾ります。
提灯に灯をともし、その火が消えるのを花火をしながら
待ちます。(お酒も飲んだりしてね)


お盆のお墓参りは、私にとって楽しかった思い出です。
怖いとかそういう気持ちはないんです。
みんなで宴会の途中に、よっぱらった親戚のおじさんやら
お兄ちゃんお姉ちゃんたちとお墓に行って、
普段とは少し違う種類の花火をしたり、
お菓子を食べながらお墓にいるのが、なんだか楽しみでした。


提灯の火が消えたら、お家に帰って宴会再開です。

「初盆」の場合は、
それはもうお祭り騒ぎです。

お墓参りの花火も豪勢ですし、
お墓に飾る提灯もまた、豪勢です。
親戚中や会社関係から送られ、何十個と飾られる家もあります。
宴会の準備もしっかりやらねばなりません。
13日からの3日間、家ではフル稼働で料理を作り続けます!
(今年の私と妹がそうでした)

そして、忘れてはならないのが「精霊船(しょうろうぶね)」

今はコンパクトに設計されることが多くなったようですが、
それでも大きな大きな「精霊船」を作らなければなりません。
安全面から高さ制限(昔は電線に引っかかる事も多々ありました)や
長さの制限もあるようです。

船は、故人の好きなものをモチーフにした飾り付けをしたり、
好きだった物を飾ったりします。
初盆の準備は、家族だけではなく、
会社の同僚たちや同級生が協力したりして、
故人を思いながら船を作ります。
「実行委員会」なんかも作られることもあります。

船の名前は、必ず「西方丸(せいほうまる)」という名前にします。
船の帆に「西方丸」と記され、船の先にその家の名前が入ります。

そして、15日の夜、
親戚や友人達が船を押しながら街を練り歩いて、海に向かいます。
街を練り歩くときは、爆竹に慣れてる中国人もびっくりするほどの
爆竹を鳴らします。
この爆竹は、魔除けのためです。
故人が無事にあの国へ帰れるように、たくさんたくさん鳴らします。

海に着くと、西の方に向かって船を流します。

今は安全面や環境のことを配慮して、
実際に船を流す事はしませんが、かならず海までいって
西に向かって終了します。

にぎやかな音が鳴り響きますが、とても切ない夜です。


安全面や環境面を考慮して簡素化されることは仕方の無い事かもしれませんが、
でも、こういう古くから続いている行事は、
できるだけ昔のままの形で受け継いでいければなぁとしみじみ思いました。

写真があればもっとわかっていただけたかもしれませんね。
今回は炊事班専属でがんばっておりましたので、撮れませんでした。


文化を知ることも大事な言語学習の一つですよね!
次回は台湾の「お盆」について紹介したいと思います。


台湾YUMA Azumi